2012年2月8日水曜日

論文を書くときのフォントについて心得ておくべき3つのこと

Wordとかで論文を書くときのフォントについて心得ておくべきこと。

1. デフォルトに従え

長年コンピューターを使っていて得た教訓の一つは、特に必要のない限り、デフォルトから外れたことはしない方がいいということである。例えば、ソフトウェアをインストールするとき、わざわざインストール先フォルダをD:¥Appsとかに変えない方がいい。必要があればそうしても構わないが、そういうことをして後で面倒なことになったことは一度や二度ではない。フォントについても同じで、WindowsのWordで原稿を書け、と言われたら、たとえヒラギノの熱烈なファンであっても、素直にMS明朝を使っておくのが無難である。そうしておくことで、起こり得るかなりの種類のトラブル(例えば、全てMS明朝に直して再提出することを後から要求されたりとか)を事前に回避することができる。文書のところどころに標準的でないフォントを混ぜ込むようなことも、努々してはならない。どうしても特殊なフォントを使用しなければならないような場合には、Wordのファイルと一緒にフォントを埋め込んだpdfファイルも併せて提出しておいた方がいいだろう。印刷から出版まで全て自分の好きにできるような場合であれば、ご自由にどうぞ。

2. 等幅フォントを使え(日本語の場合)

原則として、Wordで原稿を書くときには、空白文字を使って位置調整することは邪道であり、タブとインデントを使用すべきである。にもかかわらず、等幅フォントを使っておくことで、レイアウト上の些細な問題を回避することができる場面が少なからず存在する。等幅フォントとは全ての文字の横幅が同じであるようなフォントのことである。これに対して、文字によって横幅が異なるフォントをプロポーショナルフォントと言う。

Windowsであれば、MSゴシックやMS明朝は等幅フォントであり、MS P ゴシックやMS P 明朝はプロポーショナルフォントである。ただしMS P ゴシックやMS P 明朝も漢字は全て横幅が同じであり、平仮名、カタカナ、英字など漢字以外の文字で横幅が変動する。ちなみにMacで使われるヒラギノやAdobeのソフトウェアについてくる小塚の場合は、漢字、平仮名、カタカナなどは等幅であるが、英字はプロポーショナルのようである。

欧文については、等幅フォントにこだわる必要はない。というより、欧文フォントは普通はプロポーショナルフォントである。後述するように、欧文フォントについてはTimesを使用することを推奨する。欧文の等幅フォントとしては、CourierやCourier Newが有名であり、プログラムのコードを記述する際などによく使われる。

3. Timesを使え(欧文の場合)

最初に、デフォルトに従えと言ったが、唯一デフォルトに逆らうべきであると思うのは欧文フォントの選択である。Wordのデフォルトの欧文フォントはCenturyだが、新規文書を開いたら最初にTimes New Romanに変更すべきである。Centuryがよくないと思う理由は2つある。第1に、Timesは斜体にしたとき、ちゃんと筆記体風のイタリック体になるが、Centuryは単純に斜めに傾けただけのオブリーク体になるだけで、ださい。第2に、Centuryはギリシャ文字の書体がださい。日本語環境のWordでは、ギリシャ文字はデフォルトでは日本語フォント(MS明朝とか)になってしまうが、手動で欧文フォントに変更することも可能であり、数式の中などで使う場合には当然、欧文フォントにすべきである。明らかに、CenturyよりTimesの方が、我々が(数式中の変数などとして)普段見慣れたギリシャ文字のイメージに近いと思うだろう。

ちなみに私はTeXを使うときにはTimesではなくPalatinoをよく使うが、これは日本語フォント(ヒラギノとか)との相性がTimesよりいいような気がするからである。欧文だけで文書を作るときにはPalatinoよりTimesの方が見やすいような気がする。